オフィスCADMS(キャドムス)
- 起業を意識したきっかけは何ですか?
起業のきっかけはネガティブな事件が発端でした。それまで私は高校を卒業してからずっと地元の製造業で働くといった、根っからのサラリーマン。家では普通の主婦で会社との行き来の日々です。ある日会社で、その日も普通に仕事に追われていたのですが1本の電話が入りました。内容は私の職場が明日からなくなると言うものでした。驚いた私は泣くしかありませんでした。その後何日も私の仕事の重要性や私自身の存在意義を考える日々…でも考えれば考えるほど「何のとりえも無い私にも出来ることあるんじゃない?」と気持ちが変化していったのです。そんな中から起業への道に進む決心をしました。
- 御社の夢結歩印鑑はどうやって誕生したのですか?
夢結歩印鑑は、ものづくりに携わっていながら裏方でモノを作ることのない私にとって、初の形ある商品です。起業した当初から私たちは沿岸でものづくりを普及・支援したいと営業していたところに、釜石市で新商品開発のプロジェクトに参加させてもらうことができました。中小のものづくり企業が協力して新商品を作るプロジェクトです。そこで3年間、各企業との深い連携を築くことができました。夢結印鑑は私が中心となり、その仲間たちの技術と思いを結集して作ったものです。震災を乗り越えたこの仲間たちと出会えたことが、まだまだ力のない私でも先に進む原動力になっています。
- そうしたプロジェクトに出合うためには、人との繋がりが不可欠だと思いますが、それはどうやって築いたのですか?
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起業したての事は、仕事の見通しや資金や人脈もゼロスタート。長年サラリーマンの私が人に会って営業することは恐怖以外の何物でもありませんでした。
手あたり次第に歩くしかないと思い、盛岡にある中小企業連合会に相談に行きました。そこである女性を紹介してもらったのですが、その女性から更に紹介があったのが、岩手大学の地域連携推進センターにいるコーディネーターでした。私はすぐにその人に連絡をしてアドバイスを受けることになりました。何もわからない何もない私が無料で相談できる人が現れたことは大きく、今の会社の存続の支えになっています。営業の不慣れな私をマッチングさせてもらったことは、その後の人脈拡大に繋がっています。
- 岩手県立大学宮古短期大学部で起業に関する講義もされていますね。学生の反応は?
岩手県立大学宮古短期大学部では地域総合講座「起業から学んだ大切な気づき」というテーマで講義をしています。概要としては私が起業したきっかけから始まり、何をするにも大事なのは「人」であり、その中で私自身が気づいたメンタル面をお話します。
学生達の感想は共通して「普段の講義と違って楽しかった」ですが、それが一番嬉しい言葉です。
私のネライである自分自身の「好き」を知ること、ポジティブな気持ちの作り方に対しても伝わっていることが良くわかる言葉をいただきます。「自分を好きになり、自信が持てるようになった気がします」そんな感想をいただき、この先どんな選択肢があっても大丈夫!と笑顔になる私です。
- これから起業という一歩を踏み出す方々へ一言お願いします。
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高卒で何のキャリアもないごく普通の主婦が、何一つないところから起業して6年が過ぎました。経営者は孤独と言われますが私はそう感じたことはありません。
コミュニケーションが得意なわけではないのですが、私らしく生きることと、人との出会いの中で協力者が必ず現れます。ないないだらけの自分にも、私だからこそ伝えられることってあると思うんです。誰でも「こうなれたらいいなあ」といった夢はあるはず。あとは「一方踏み出す勇気」!
私がその証拠になれたら嬉しいです。
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